発達段階の地図をもつ
ロバート・キーガン博士の「意識の発達理論」を簡単にご紹介していきます。私のコーチングセッションの見立ての一つには、この「意識の発達理論」を背景に置いています。ただ、私自身は(現段階では)コーチとしてその方全体の意識段階、という測定をするわけではなくて、その時々のコーチングのテーマが、「どの段階に由来するものなのか?」という見立てに利用しています。なぜなら、人は状況によって意識段階が変動するからです(家族とは段階2になるけれど職場では段階4とか)。
通常、意識の段階が上がるごとにより多くの視点、より広い世界観を持ち、より成熟した個人としての意思決定・行動ができるようになってきます。結果として、問題が解決したり(あるいはもはや問題ではなくなる)、よりスムーズに目標が達成できたり、想定を超えた結果につながると考えています。
私がゼミナールで発達理論を教えていただいている、加藤洋平さんが執筆された「なぜ部下とうまくいかないのか」は、とてもわかり易く、発達理論をご紹介していますので、こちらもぜひ参考に読んでみてくださいね。下記の情報は、加藤さんが使われてる教材を基にしています。
意識の発達段階2~4
段階2
- 成人人口の約10%と言われる。自分の欲求や願望がメインのモチベーション。他者の心や外界を理解することにまだ薄い段階です。別名、「道具主義的段階」と言われ、他者への理解や関心を寄せることが難しく、自分の都合のよい方向だけに他者へ助けを求めがちです。二分法的思考に陥りがちで、白か黒か、のように、割と単純な世界観を持っています。他者の視点を想像したり、取り入れたりすることが、次の段階へ開けるカギとなります。
段階3
成人人口の約70%と言われる。この段階の方の「自己」は他者や外部環境によって定義されます。「他者依存段階」と言われます。人が自分をどう考えてるのか?どう評価されているのか?外部の基準や規範に沿ってるか間違っているか等、外側の枠に意識がいき、自己理論を持つまでに至り切れていません。どんな枠に縛られているのかを意識化し、そこから離れたところで独自の価値観を築いていくこと、行動基準を内側に作っていくことが次の段階へ開けるカギとなります。
段階4
成人人口の約20%未満と言われる。この段階の方は、自分独自の価値体系を持っています。「自己主導段階」と言われる段階です。他者の存在を大事にすることができつつ、自分なりの理論を作り上げたり、価値観をもって、自分を律しながら行動することができます。この段階に至れることで、他者をうまくマネジメントすることができるようになります。段階4の方は、自分の価値観と同一化しているので、意見を批判されると自分自身を否定されたように感じます。徐々に自分の価値観から距離をとっていくことが、次の段階5へ開けるカギとなります。
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